大阪桃谷でプロが教える少人数制の和食料理教室です。

プロが料理するちょっとしたコツ、そのひと手間が、料理を劇的に変えています。

中野 龍一の最近のブログ記事

包丁の使い方

今年最後になりますが、包丁の使い方について書きたいと思います。

本題に入る前に
日本料理が多様に発達してきた理由のひとつに、私は水が豊富なことが挙げられると思います。日本の水は軟水で、魚・野菜・米を料理するのに適しています。日本ほど普段の生活にも食事にも水をたっぷり使う国は他に無いと思っております。私を含め、皆様もこの自然の恵みを上手に大切に使いましょう。

さて、包丁についてですが
和食の調理場では、きざむことを「打つ」と言い、魚は「さばく」、造りは「きどる・引く」といった具合に「切る」という言葉を嫌う傾向にあります。これらは武家社会の名残と縁起をかつぐ日本文化の特色と思われます。

その「切る」ということについてですが
どうも女性は切る事を軽く見ているふしがあるように感じます。

私生活と野菜の料理を比べてみましょう。

野菜を洗う=風呂に入る
野菜を切る=服を着る・化粧をする 

このように置き換えることが出来ると思います。

メイクや服装が決まらないと、外出したくありませんよね?野菜も料理法に合わせてきっちり切ってあげましょう。切れていれば良い、というのはメイクも服装もどうでもよい、と言っているのと同じです。

きれいに切る事にこしたことはありませんが、この「きれい」とは何を指しているのか?
答えは簡単です。
「同じ大きさにむく・へぐ・切る」事です。
最初は厚くてもいいので、同じ大きさに揃える事を心において繰り返し反復する事です。

次に大事なのは、左手の使い方、立つ位置、包丁の持ち方、そして材料に合わせた力のかけかたです。硬いもの、柔らかいもの、滑るもの、ひっつくもの、ぬめるものなど様々ですが、右手と左手をそれらに同化させるように力を入れるのです。
包丁が良く切れる事にこしたことはありませんが、上手くなろうと思うなら、包丁のどの部分が良く切れるかを見極め、その部分がいつもヒットするように使うことです。

以上が切る事についての理(ことわり)です。
ひとつひとつクリアしていけば、2~3年後には上手になるはずです。ケガに注意しながら頑張ってみてください。

それでは皆様、
どうか良いお年をお迎え下さいますよう
心から願っております。

講師 中野龍一

講師中野より 職人から先生へ

久々に講師の中野龍一です。こんにちは。

料理教室を始めて約5ヶ月。たくさんの方にお越しいただきまして、ありがとうございます。
先生といった実感よりも、まだまだ料理人をしていた時の職人気質が抜けず、以前書いた食物のやきもちが、職人のやきもちとして働いているようです。先生というよりも、料理人が勝っていてすみません。

料理人を長い事やっていますと、(料理人しかやってこなかったとも言えますが)一般の方々の料理の悩みだとか、それを誰に相談したらよいのか、といった具合の事があまり理解できませんでした。そうした部分では、私は良い先輩や師匠に恵まれ、それがあたりまえだと思っていました。
そういう料理の悩みを解決する機会の無い人たちの為に、料理の楽しさや日本の食文化を少しでもお伝え出来れば・・・と教室を始めたのではなかったか?
ともすれば、私は(これぐらいのことはプロの私が教えなくても知っているだろう・・・)と半分あきれながらの授業もあったかもしれません。
初心忘れるべからず。
私の見習いの頃、先輩たちがやさしく(?)指導してくださったことが思い出されます。

次に、私の目から見た生徒様について。

まぁ私が専門職だということもありますが、
「う~ん・・・」といった生徒様ばかりです。
「だから習いに来るんでしょう!」と、抗議の声が聞こえてきそうですが・・・。

現在、【和食の教室なかの】では、好きな献立を選び、その献立だけを受講していただける1回完結型のレッスンになっていますが、やはり付焼刃では知識と技術は身につきません。連続して積み重ねていくことこそ物事の本質だと気がつきました。
例えば数学の足し算、引き算が出来たら、掛け算、割り算、さらに難しい数式に、と基礎の上に新しい知識がかぶっていきます。料理も同じです。
出来るだけで良いのです。時間をかけて知識と技術を身につけましょう。
私も来年は無い知恵を絞り、連続して通えるシステムを考えたいと思っています。
それに関して良い案、ご希望などありましたらご一報下さい。

次に私が使っている調理器具について

私が使っているものと同じ調理器具が欲しいと言って下さる生徒様の声もあります。結論から言いますと、どんどん使って下さい。手入れは少し必要ですが、値段もそんなに高くありません。希望される方については、代理で購入もしております。包丁のサイズや種類などは使用される方に合うようなものを私が選んでおります。これぐらいの物を使いこなして欲しいという希望もそえてお選びします。(商品代のみ実費で承ります。教室内での物品販売は致しておりません。)
下の写真は1人の生徒様が実際に購入した道具です。やる気が感じられます!包丁には無料で名前などの文字を入れてもらえます。

包丁と鍋.jpg 私といたしましては、料理に興味を持っていただける良い機会だととらえております。とっかかりは何でも良いのです。形、格好から入っても良いのです。自分の道具だと思うと、愛着もわき、どんどん使ってみたいと思うはずです。

昔、後輩に「兄さん、どうしたら料理の腕が上がりますか?」と聞かれた時、
「まずマネから入り、自分のものにしていくしかないでしょう。人生、そして知識の98%はうけうりなのだから。」と、答えたことを今も覚えています。
そしてその後輩は、私の髪型や服装も真似ていました。(う~ん、少し違うけど、まぁいいか)と可愛く思っていましたが、その後輩も今はとあるホテルの料理長として活躍しています。

皆様も、調理器具や料理のご質問・ご相談といったことでは授業の妨げとならない程度に承りますので、心に留めておいて下さいね。

今日はこれにて。

食材との対話 その2

講師の中野龍一です。

今日は、再び食材との対話についてお話させていただきたいと思います。
以前の記事はコチラ→食材との対話」「プロの料理の考え方とプロセス

私は、材料・食材との対話が大切だと言っていますが、具体的にどういうことなのか?プロの料理人をやっていた頃は、「経験とそれらに多く携わった感覚」だと思っていました。今でも、それはすぐには身につかないものだと思っていますが、技術はさておき「食材との対話」という感覚をいかに生徒様に伝えればよいか?ということを教室を始めてから考えるようになりました。

「食材」には、野菜・果物・肉・魚・甲殻類・木の実等々本当にいろいろな種類のものがありますが、私が言う対話とは、それら食材のアクとの対話なのです。

アクとは、魚臭い、芋臭い、青臭いなどといったものです。

料理の味付けに際して、おいしく味付けすることに主眼を置かないで、その前に使う食材のアクをどう処理するのか、それが食材との対話だと考えます。
アクと一言で言っても、目に見えるアク、香り、ぬめりなど様々。それらをどう処理するか。そこを飛び越えて仕上げ(味付け)だけの料理は食べ物にはなりません。

修行時代、「和食の調味料はおおまかに酒・砂糖・塩・醤油・味噌しか無いのだから、あとは食材に合った調味料を補ってあげればいい」と習いました。
調味料は食材の味付けに力技として使うのではなく、アシスタント的に使うのがオススメです。その為には食材のアクとの対話が重要です。

ところで、果物はアクが少なそうに思いませんか?
でも、「お腹がいっぱいってわけじゃないけど、もういらない・・・」と思う時、それもアクのせいだと私は思います。

十数年前の新聞ですが、「食物のやきもち」という記事を読みました。
食物は自分で動くことは出来ませんから、種を鳥や動物、虫に運んでもらう必要があります。だから持ちつ持たれつで、餌となる実をつける訳ですが、
例えば1匹の動物にその種を全部食べられて、種を遠くに運んでもらう前に死んでしまったとしたら、種が全部無駄になってしまいます。だから、たくさん食べられないように果物にもアクがある。(果物の中にはたんぱく質分解酵素を持つものが多くあります。たんぱく質分解酵素には、舌の表面を溶かす作用があり、たくさん食べられないのです。この成分は、洗剤などにも使われています。)種は運んで欲しいけれど、タダだと思ってそんなに食べなくても・・・といった食物のジレンマを「やきもち」と表現しているのです。

要は、調味料のコントロールより、アクのコントロールが重要だということです。
アクをコントロールさえ出来れば、和食の調味料なんていつも一緒です。
食材の下ごしらえをひとつひとつ覚えて活かしていくことで、お料理の出来上がりが劇的に変化していくはずです。ぜひ、味付けの前にこのことを思い出してください。

<本日の写真>
よく切れると評判の包丁。
こうやって講師自身が砥いでいます。
砥石を2種類使用。右は仕上げ用です。

包丁とぎ.jpg


北京五輪と高校野球

講師の中野龍一です。
HPをご覧いただいている方には、お久しぶりです。

まだまだ暑い日が続いていますが、皆様はどうお過ごしですか?

暑い日には、山芋が身体に良いそうです。
たたきトロロ、すりおろしたものをスッキリ冷やしてのどごし良く。
生玉子、のり、マグロなどを混ぜてどんぶり風にしても良し。
すりおろした物を、湯葉やのりに巻いて揚げてもおいしいですよ。

ところで現在、北京オリンピックの真っ最中です。
男子100m金メダリストのジャマイカのボルト選手、
また、女子100mの1~3位もジャマイカの選手だったんですが、
ジャマイカの主食が、なんと山芋だそうです!
たんぱく質をエネルギーに変える働きがあるそうです。
この話はテレビの聞きかじりですが、科学的根拠もあるんだとか。
皆さんも、山芋を食べましょう。

さて、夏といえば暑い!
でも、夏には楽しみもたくさんあります。

海・川・山・里に繰り出す人、ご先祖様にやっと会えるお墓参り、ふるさとに帰り懐かしい仲間と会う、郷土料理を食べる等々、数え上げたらキリが無いのですが、私はなんといっても
高校野球です!

少し長くなりますが、私なりの高校野球の魅力について語らせていただきたいと思います。

その前に・・・

90回記念大会、北大阪代表「大阪桐蔭高校」優勝おめでとう!
おめでとう、そして、ありがとう。本当に強かった!!


高校野球は、何といっても年齢制限があり、期間も3年と短い。その3年間にチャンスがたった5回。この狭き門を勝ち抜いて、甲子園に立てる選手は、自分の努力とチームメイト、その努力を陰で支える家族を誇りに思って立っている。
私から見たら、なんて強運で幸せ者たちなんだろう。本当にうらやましい!
それに、言い訳無用の一発勝負。
予選から始まり、甲子園の準々決勝あたりからは過酷な試合日程。
ここで優勝出来るのは、強運と丈夫に産んでくれた両親に感謝するしかありません。

高校野球の楽しみ方のもうひとつが応援席です。
日本各県の県民性、郷土色がここひとつで見れます。勝負にこだわって戦っている選手とは別に、各県の特産品や名物の祭りなど、半分は県の宣伝も兼ねてるのか?と、思うほどです。
そして何より心打たれるのが、学生たちの応援です。
どんなに大差の試合でも、試合終了のサイレンが鳴るまで、精一杯の声で応援しています。プロ野球など、プロの試合なら勝敗が決まれば途中で観客が帰り始めるような試合展開であっても。
アルプス席に整然と並んだ応援団、ブラスバンド、チアガール。高校野球の応援席は世界のスポーツの応援の模範です。

この彼らにとって一生に一回の舞台を見ることで、私も初心に帰り、頑張ろう!と思えるのです。

最後に、私のちょっとした感じ方ですが、
甲子園で鳴るサイレンはどれも同じはずですが、
試合開始には「それ行け~!」と勢いのある音に、
試合終了時には「物悲しく」
終戦記念日には「申し訳なく」聞こえるのは私だけでしょうか?

そんないろんな物語、歴史のある夏の高校野球。機会があればぜひ甲子園に足を運んで観戦して下さい。きっと心が熱くなれますよ!

食の豊かさと食品偽装

講師の中野龍一です。

食品の偽装があとを絶ちません。
なぜそんな事が起こるのか、私なりの見解を書いてみたいと思います。

まず第一に、国民の食生活が豊かになったことと、その豊かさを支える輸送システムの発達に原因があると思います。

国民の食生活の豊かさ、輸送システムの発達、
どちらも良いことではあるのですが、どんな隙間でも悪いことを考える人はいるもので。

私たち料理人は、修行という名の下に日本全国をまわり、各地の特産品や郷土料理に出会いますが、ここで師匠の言葉が思い出されます。

「美味しいものには旅をさせるな」

逆に言いかえれば、「旅はできない」ということです。

京都の豆腐、紀州の一夜干、泉州の水茄子の漬物・・・名前を挙げるときりがありませんが、

例えば


食材との対話

講師の中野龍一です。

今日は、講師の紹介欄でも書いている「食材との対話」についてお話します。

和食は素材の良し悪しが料理を左右すると思います。
生魚、野菜、果物、新鮮なものが日本人には好まれます。

スーパーなどに時折足を運ぶと、(この芋は収穫してから5日は経っているな・・・)(この野菜は見切り品か・・・)など、もっと早く食べてもらえれば美味しく、ありがたく食べてもらえただろうに、売れ残ってしまい申し訳なさそうな食材の姿が目につきます。
私は見切り品でも購入します。(教室ではもちろん使用しませんが)
調理法によっては必ずしも新鮮でなければならないということはありません。生食は無理でも、炒め物にはまだ使える、といった具合にです。そのような食材との対話が技術を向上させ、美味しいものを作り出せるようになるのだと思います。

それでは良い素材とは何か?


もちろんある程度の新鮮さは必要ですが、値段が高いからといって必ずしもおいしい料理が出来るわけでもないのです。
そこの所は、1番から9番まで全員4番バッターの野球チームが必ず勝つわけではないのと似ています。

まず第一に、食材の種類が多い場合は全ての食材の調和をとることが大事だと思います。
オーケストラに例えると指揮者はもちろんあなたです。(ガス台の使い方でも例えましたね)ここでは食材が楽器、調味料は演奏者になるでしょうか。
良い指揮者は楽器の持ち味を上手に引き出します。そのためには、その楽器に対する知識と心が必要です。食材で言うと(もう少し塩を入れるとおいしくなるよ!)とか、(もっと炊かないと私の持ち味はでませんよ!)など食材の声に耳を傾けることです。

買い物に行って、食材の価格や調理にかかる時間や手間に心を奪われていると、なかなか対話は難しいとも言えます。
このところ食材の価格が高騰し、なるべく安いものを・・・と考えてしまいますが、だからこそしっかり食材を見極められるようにしたいものですね。

プロの料理の考え方とプロセス

講師の中野龍一です。

料理が苦手、どうしたらいいか分からない、食材の扱い方が分からない、というような事を良く耳にします。

どうしたら料理が上手になるのか?


それにはやはり、食材との対話だと私は考えます。
対話には、長い時間をかけて数をこなすしかないのです。

例えば、母親は赤ちゃんが泣くと、お腹が空いている、オムツを取り替えてほしいなどという具合に分かるようになってくると言います。それは長い時間と労力と愛情をかけた結果であって、物言わぬ食材にも少し似たところがあります。

次に失敗はしてもいいのです。ただ、しすぎがいけないのです。
プロは失敗しないのかと言いますと、毎日失敗の連続です。
そんなのでよくお金がもらえるの、とお叱りはごもっともですが、プロの失敗にはその都度チェックポイントがあり、常に微調整をしながら完成に近づけていくわけです。
レシピも大事ですが、先の対話、そして微調整をしっかり身につけていくとそこそこ美味しい物が出来るわけです。

それではポイントを5つ挙げてみます。

その1 材料の購入


鮮度が良い方がいいのはあたりまえですが、料理法に合わせた買い方が良いでしょう。値段が高いものが必ず良いとは限りません。

その2 下ごしらえをしっかりすること


煮る、焼く、炒める、蒸す、生、複合的と様々ですが、例えば「炒める」にしても、食材をこの大きさに切れば私のフライパン&ガス台では何分で火が通る、など推理をしてやること。料理の出来の60%は下ごしらえで決まります。

その3 鍋を選ぶ

例えば煮物を作るとして、料理が出来上がった時のことを想像して、鍋の大きさを選びます。ここまでで80%完成です。

その4 調味料の使い方


ここでは魚の煮付けを例にとってみます。
時間に追われて料理することの多い皆さんは合わせ調味料(煮汁を完全に合わせた状態のもの)を使っていることでしょう。でも、私がオススメしたいのは、順を追って調味料を入れていくことです。昔から調味料を入れる順序を「さしすせそ」で表現していますが、これは間違いではありません。このことについては、また別の機会に詳しく書きたいと思いますが、「合わせ調味料」で作ったもの「さしすせそ」で作ったものは時間的な差はほとんどありませんが出来上がりは全然違うものになります。

その5 ガス台の使い方

オーケストラに例えると、自分は指揮者であり、演奏しているのはガス台です。演奏者をしっかり見張り、強弱をつけてやること。その調整によって料理がまた違ってきます。火が通ればいいというものではないのです。ここで上手に微調整すること1~4の事が活きてきます。

以上がプロが意識している料理のポイントです。
皆さんも料理を区切って考えてみることで、少し楽に出来るようになると思います。参考にしてみてください。

匙加減について

講師の中野龍一です。

今日は料理のコツとも言える匙加減について私の持論をお話ししたいと思います。

匙加減とは、目分量であり、感覚であると私は思っています。
では、その目分量や感覚を体得するにはどうしたらよいか?

それは同じメーカーの調味料を使い続ける事です

ちなみに料理界では、醤油に一年落ち、三年落ち、という種類のものがあり、業者にとって在庫を減らす機会となっています。ですから私などは、スーパーで聞いたことのないメーカーの調味料が安売りしている時など、これは1年落ちかな?などとつい勘ぐってしまいます。

とにかく、常に同じ味の調味料を使うことで加減が分かるようになっていきます。
醤油を開栓後も常温で保存し、味が落ちていることはありませんか?醤油は、これからの季節は特に、開栓後は冷蔵庫で保管してください。醤油というのはそもそも味噌の上澄みであって、発酵食品です。常温だと、発酵が進み(うむとも言います)味が変わってしまします。

匙加減が上手くいっていると思われる、家庭料理の一例を挙げてみます。
それは・・・ふるさとの味の代表格、味噌汁。

この味噌汁に対しては、故郷を持つ女性というのはたいてい美味しく作る事が出来ていると思われます。
故郷の味噌を使い、母が味噌汁を作るのををそばで見、毎日食べている味なので、感覚と記憶に残っているからだと私は思っています。

プロは懐石料理の献立を大抵1ヶ月のサイクルで作っていますので、30日間毎日同じものを作り続けます。これに真剣に取り組んでいる人はその材料に対して匙加減が身についていきます。
ただし、普段あまり使用しないような甘味料、氷砂糖、ザラメなどといったものにはプロであっても量りを使用しています。

と、いうことで
プロが教える匙加減の5ヶ条です。

①同じメーカーの調味料を使い続ける
②調味料は2回、3回に分けて入れる
③おいしく出来た時の料理を紙に書き、その感覚を記憶しておく
④食材に対する鍋の大きさがカギ(これが重要!)
⑤食材との対話(これを習得するには時間がかかります)
講師の中野龍一です。

今日は「使いまわし」について。

これについてはもう言語道断で、物を言う気にもなれません。
そこで働く料理人たちも、自分の価値を自分で落としていることを分かっているはずです。いくら上の命令であっても「こんな店辞めた」と言えない事が情けないです。それぞれ生活があるだろうし、物を言う立場にない若い人もいるでしょう。目をつぶってさえいれば、ネームバリューの上にキャリアもついてくると考える人もいるでしょう。

私は経営者に対しては何も言うことはありません。

私はあくまで料理人に言いたい。
それも、これから料理人を目指す若い人に。

料理を作る腕というのは店やホテルの名前が上げてくれるものではありません。大事なのはどんな料理長(通称おやっさん、又はおやじと呼ばれます)に就くかということです。技術を身につけたいなら、本当に料理のプロになりたいのなら、自分を身軽にしておくことです。そして良いおやじを探すことです。私はその点では非常に恵まれていました。

私が見習いの頃の話です。

そのホテルでも、宴会や懐石料理の残り物が毎日大量に返ってきていました。もちろん手付かずの料理もありました。
洗い場のおばさん達が手付かずの料理を集めていたのを見て、

私は「それ、どうするの?」と尋ねました。

すると「後で食べるの。お弁当のおかずにもなるし」

という返事が返ってきました。

当時まだ十代だった私はお腹が減っているし、
(僕も食べよう)と思って、手を伸ばしたところに
兄貴分とおやじが通りかかり

「お前、何やってる?」と言われ

「腹が減っているので・・・」と言うと

料理人たるもの客の残り物に手を出すんじゃない

と、やさしく教えてくれました。

でも僕は納得できず「では洗い場の方は?」と聞くと

「洗い場は料理人じゃないだろう」

と言って、二人はそのままお風呂に行ってしまいました。

私のおやじは「自分が口に出来ないものを客に出すな」が口癖でした。

このエピソードからも分かっていただけると思うのですが、
客の食べ残しを次の客に出すなどと考えるのは、絶対に料理人では無いと思っています。経営者だからこそ考えることだと思います。
ノーと言えなかった料理人にも責任はあると思いますが・・・。

最後に、飲食店を利用をする皆様に言っておきたいことがあります。

美味しいものを、汗水たらした貴重なお金を使って食べに行くのですから、有名なお店、有名なホテル、有名な地域というのではなく、美味しいものを作る料理人がいる店を探すことです。ネームバリューや創業何年という看板に惑わされず、自分の足、自分の舌で探してみてください。料理を作っているのは看板ではなく、人であることをお忘れにならないように。
講師の中野龍一です。

このところ世間を騒がせていた船場吉兆の事件について、
プロの職人であった私が思うこと。

今回は食品の偽装について。

これは、私に言わせれば吉兆だけの問題ではなく、もっと大きな視野で見るべき問題です。農林水産省とその官僚、その枝の業者にいい加減にしろ!と言いたい。
北朝鮮産のアサリを日本海産だと表示したり、静岡で収穫されていないものでも静岡産だと表示したり(もちろんメロンのこと)。
これは北朝鮮のアサリがまずいとか、静岡以外のメロンの味が落ちるということを言っているのではありません。
襟を正すべきは、それを監督する省だということ。
国民を欺くのは、国の正しい姿勢ではありません。

マスコミが「どこどこの産地が良い」などと言った事を信じきっている国民を欺く、流通や業者を取り締まるべきです。

国民にしても、産地ではなく自分の舌で判断していく時代にきています。

対処法としては、
信用のおける魚屋、八百屋、果物屋を見つけ、地域社会でそれらの業者を盛り上げ、悪い品物にはハッキリ文句を言い、業者の生活の基盤を支えているのは私たちだと自覚しましょう

それらを多くの人が実践することで、食の安全も図れるのではないでしょうか。

私は食材との対話が美味しい料理を作るコツだと言っています。
それには、食材を売っている業者に聞ける環境を作る事だと思います。

プロであっても、聞いたことはあっても見たことのない魚や山菜など沢山あるものです。

調理師というのは、食の橋渡しをする立場にあります。
だからこそ、偽装はやってはいけない。そう思います。

しかし、船場吉兆だけでなく、8割程度は何らかの偽装をやっているのが今の現実ではないかと感じています。

次回は「使いまわし」について。

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