大阪桃谷でプロが教える少人数制の和食料理教室です。

プロが料理するちょっとしたコツ、そのひと手間が、料理を劇的に変えています。

食材との対話 その2

講師の中野龍一です。

今日は、再び食材との対話についてお話させていただきたいと思います。
以前の記事はコチラ→食材との対話」「プロの料理の考え方とプロセス

私は、材料・食材との対話が大切だと言っていますが、具体的にどういうことなのか?プロの料理人をやっていた頃は、「経験とそれらに多く携わった感覚」だと思っていました。今でも、それはすぐには身につかないものだと思っていますが、技術はさておき「食材との対話」という感覚をいかに生徒様に伝えればよいか?ということを教室を始めてから考えるようになりました。

「食材」には、野菜・果物・肉・魚・甲殻類・木の実等々本当にいろいろな種類のものがありますが、私が言う対話とは、それら食材のアクとの対話なのです。

アクとは、魚臭い、芋臭い、青臭いなどといったものです。

料理の味付けに際して、おいしく味付けすることに主眼を置かないで、その前に使う食材のアクをどう処理するのか、それが食材との対話だと考えます。
アクと一言で言っても、目に見えるアク、香り、ぬめりなど様々。それらをどう処理するか。そこを飛び越えて仕上げ(味付け)だけの料理は食べ物にはなりません。

修行時代、「和食の調味料はおおまかに酒・砂糖・塩・醤油・味噌しか無いのだから、あとは食材に合った調味料を補ってあげればいい」と習いました。
調味料は食材の味付けに力技として使うのではなく、アシスタント的に使うのがオススメです。その為には食材のアクとの対話が重要です。

ところで、果物はアクが少なそうに思いませんか?
でも、「お腹がいっぱいってわけじゃないけど、もういらない・・・」と思う時、それもアクのせいだと私は思います。

十数年前の新聞ですが、「食物のやきもち」という記事を読みました。
食物は自分で動くことは出来ませんから、種を鳥や動物、虫に運んでもらう必要があります。だから持ちつ持たれつで、餌となる実をつける訳ですが、
例えば1匹の動物にその種を全部食べられて、種を遠くに運んでもらう前に死んでしまったとしたら、種が全部無駄になってしまいます。だから、たくさん食べられないように果物にもアクがある。(果物の中にはたんぱく質分解酵素を持つものが多くあります。たんぱく質分解酵素には、舌の表面を溶かす作用があり、たくさん食べられないのです。この成分は、洗剤などにも使われています。)種は運んで欲しいけれど、タダだと思ってそんなに食べなくても・・・といった食物のジレンマを「やきもち」と表現しているのです。

要は、調味料のコントロールより、アクのコントロールが重要だということです。
アクをコントロールさえ出来れば、和食の調味料なんていつも一緒です。
食材の下ごしらえをひとつひとつ覚えて活かしていくことで、お料理の出来上がりが劇的に変化していくはずです。ぜひ、味付けの前にこのことを思い出してください。

<本日の写真>
よく切れると評判の包丁。
こうやって講師自身が砥いでいます。
砥石を2種類使用。右は仕上げ用です。

包丁とぎ.jpg


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